「ピラネージのまなざし」展と東京大学の画像データベース

カートゥーン以外でも最近非常にニッチなネタがサブテーマとなりつつあるこのブログですが、今日はピラネージについて。
多分ピラネージと言ってわかるのはよほどの人かと思います。自分が知ったのはこれまたマイナーな季刊幻想文学という文芸誌のなかででした。
ピラネージは18世紀の版画家で、ローマの建築や遺跡の研究を版画にして発表してた人なんですが、そのローマ建築や遺跡の絵が、とにかくスゴい。
昨今廃墟ブームとかいって廃工場跡やら軍艦島やらの写真集などがでたりしてますが、ピラネージの絵はまさにそれ。
濃厚な影を作る壮絶なディテールの巨大建築と、その足下にぽつんといる人や動物、というのがピラネージの絵の典型といえます。

で、その一部が現在(10/8 ~ 12/11)上野の国立西洋美術館で公開されています。
といっても公式ページのお知らせにも情報らしい情報が書いてない(10/8現在)。かろうじて展示カレンダーの中に「ピラネージのまなざし」というのが見えるだけ。
自分は9月に別の展覧会に行ったとき、今後の予定として偶然知ったのがきっかけなんですが。
じつは常設展の一部として公開されているのでした。

わざわざ足を運ぶのにやや不安を感じつつも、生で原画が観れるチャンスなのでいってきました。



展示室は常設展2Fの一番最後にありました。やや広めの部屋に40点ほどが展示されています。部屋の外ではハイビジョンを活用した画像データベースのシステムが動いてました。

ピラネージで有名なのは空想の建築画と現存ローマ遺跡の建築画がありますが、ここでは後者が主体になっています。それでも濃厚なピラネージ節は相変わらず健在でした。
絵は横50cmぐらいの大きさですが、壁の模様や影の部分がものすごいディテール。雲などもすべて極細の線で陰影がついてるのですが現物を見ても薄墨と間違えるくらい。
前半はいろんな絵がありますが、後半では1つの神殿遺跡を角度を変えて複数枚展示してありました。

最初のうちは迫力に圧倒される感じではあったのですが、だんだんと当時の遺跡周囲の状況が興味深く思えてきます。
現在ローマ遺跡の写真をみると、崩れた中にもきちっと整備管理されているようすが伺えますが、この絵ではまさに廃墟。遺跡の足下からてっぺんまで草ぼーぼーで、ウシだのウマだの入り放題。今にも崩れそうな柱のそばに平気で地元の人が入り込んでる様子が描かれています。
ピラネージ流の演出はされてるんでしょうが、おおむね当時の様子を正確に描いているんだとおもわれます。
後半の神殿の方は、同一の建物を角度を変えて描いているんだというのを理解しないと、列柱ばっかりで飽きてしまうかも。

先ほどちらっと書きましたが会場入り口にPCとハイビジョンを組み合わせたデータベースがありまして、ここで展示されていないピラネージ作品を鑑賞出来るようになっているのですが、じつはこれネットで一般に公開されているというのです。

トップページはこちら東京大学象形文化研究拠点
ピラネージ以外にもデータベースがあるようなので、直接行くにはこちら
『ピラネージ版画集』画像データベース

今回一番の収穫はこのデータベースのアドレスでしょう。
(でも残念ながら10/9現在非常に重いです。昨日の夜は快適だったんですが)
ピラネージ本人から息子の著作まで多分全ての版画がおさめられてると思います。
とっつきにくいかもしれないですが、各巻を選ぶとサムネールがでてきて画像の閲覧ができます。選ぶと中ぐらいの絵がでてくるのですが、それをさらにクリックすると一辺1500pixぐらいの巨大な画像で鑑賞することが可能です。広いモニターが欲しいですね。ウチの20インチiMacだとギリギリ表示できました。下が若干切れる。

おすすめは8巻のTOMO VIIIです。ピラネージが遺跡を元に想像力を膨らませて作った架空のローマ都市風景なのですが、もうこれこそピラネージの真骨頂でしょう。そのスジでは有名な「牢獄」シリーズも入っています。

こういう奇想の建築を描く絵画はピラネージのあとに流行ったらしく、いろんな作家が架空の風景を描いていた時期があったようです。
その手の作家としては、ユベール・ロベール、エティエンヌ・ブレーとか、もっと絵画的なのはジョン・マーティンとかトマス・コールなんかが非常に面白い、常軌を逸した建築画を描いています。美術史上ではロマン派という分類になるでしょうか。ここら辺非常に面白いので、興味がありましたら調べてみてください。

追記:データベース復旧したみたいなので、なんとあのSlashdot JPに初タレコミしてみました。採用されるかな〜
さらに追記:一晩たったけど採用されてないみたい。アレゲじゃないからかorz

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by yoshihide-ohkubo | 2005-10-09 00:08 | アート


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