立体視CGパノラマを作ってみた

前の記事3Dに見えるパノラマ画像について考えてみるから色々考えたり試したりしたことで、3Dパノラマ(3Dは紛らわしいので以下立体視パノラマ)といっても普通の立体視の写真とほとんど変わりないのでは?という気がしてきました。

極端な話、明治時代の立体写真をKolorEyesに入れてSide by SideでOculusRiftで見ても、単に上下左右の継ぎ目があるだけで立体に見えることは見えるんじゃないでしょうか?

あと、これまた極端ですが前の記事の図解をわかりやすくしてみました
仮に左視点で以下のように四角形が取り囲んでいる場合、

右視点のパノラマの世界は以下のようにカメラを中心に同心円状に歪んでいると考えることができそうです。

ただ、現状の3Dソフトでこんなレンダリングができるソフトは無いので、
カメラからの奥行きをグレースケールに置き換えた画像を作って、その画像の明るさによってピクセルを左右にシフトさせる方法なら簡単に視差のある画像を作れそうです。


それでいろいろやってみた結果がこちら。
http://www.vrideo.com/watch/8ZMlPc4

残念ながら 2015年5月現在ではiOSには対応してないようです。Andoroidなどで楽しむか、PCからChromeブラウザで再生できます。また、ダウンロードボタンも有効になってますのでローカルに落としてKolor Eyesでたのしめます。

巨大な岩がせり出してくるような感じを強調した視差調整にしてみました。

以下Lightwave3DとApple Motion5での制作のためのメモ

Lightwave3D
パノラマレンダリングの時はAdvanced Camera のCylinderプロジェクションを使いますが
横の画角が360°のとき、縦の画角を求める時は

縦の画角 = 画像の幅 ÷ 画像の高さ × 180°

縦横比が1:1の時は 横360° 縦180°
縦横比が1:2の時は 横360° 縦360°
HD 16:9の時は  横360° 縦320°

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バッファエクスポートで出てくるDepthBufferではカメラの前方向の奥行きしか出してくれない

そこで、マテリアルのnode editで"spot info"ノードのdistanceをグラデーションに出力してカメラからの距離をグレースケールに置き換えます。


Apple Motion5
グレースケールの値によって画像をシフトさせるのに使ったのはこちら
フィルター/ ディストーション/ バンプマッピング



他にもレベル調整などを使ってピクセルのシフト幅(視差)を調整しています。
**************************************
ピクセルをシフトさせると画面の端もずれるので、その分画像を繰り返す必要があります

横に2倍スケールをかけて、その分タイリングを横にかけてアスペクトを戻します。



最初、繰り返しの目的で絵を単純に横3つ並べたものを使おうとしたところ、素材ごとに大きさが違うとバンプマッピングの位置がおかしくなる現象が起こったのでその方法は止めました。
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今回のMotion5プロジェクトを静止画状態ですがグーグルドライブにアップしてみました。
参考になれば幸いです
https://goo.gl/Hf0fjO
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# by yoshihide-ohkubo | 2015-05-22 00:00 | パノラマ

3Dに見えるパノラマ画像について考えてみる

以下メモ的に。
このあいだ動画ファイルであるにもかかわらず3Dにみえるパノラマムービーをみて驚いた。
パノラマ3Dは静止画でも行けるらしい
どういう仕組みなのか?
どういう性質の画像なのか?

Lightwaveなど、いくつかの3Dソフトでは単眼パノラマまでは簡単にレンダリングできる。
なんとか3Dソフトでレンダリング出来ないものか
どうやって視差のあるもう一つのパノラマを作るのか
GoPro画像のようにスティッチソフトを使うのはイヤだ!

たとえば下のサイトでは3Dパノラマ画像を作る方法が書いてある。2002年の段階でこれはすごいんだけど…
paulbourke
ただし左と右のカメラそれぞれ360°を1°ずつ分割してレンダリングして最後につなぎ合わせるとか、ムチャなことが書いてある!
レンダリングされた絵を見てみると、どうもパノラマ画像それ自体が裸眼立体視できるようだ


ということは、裸眼立体視できて、なおかつ両端がつながってる画像なら3Dパノラマにできるのでは?

ここで裸眼立体視できる画像についておさらいしてみる

step1
ふつうの裸眼立体視 L/R


左画像を基準とすると、
右画像のオブジェクトは左画像に比べて
左寄りなら手前に感じる
右寄りなら奥に感じる


step2
各画像の両端がつながった裸眼立体視 L/R


もしかするとこの状態でもside by sideとしてKolor Eyeなどで開くと立体に見えるカモ?

step3
オブジェクト自体に奥行きがある場合


左では円のオブジェクトを右で斜めにしてみる。
裸眼立体視すると円が奥に倒れているように見える


では3DCGではどうなるのか

たぶん上下方向の立体視はさすがに無理だと思う
ふつうのパノラマ画像に対してどうなっていれば3Dに見えるのか

仮説

カメラを中心にして奥行き方向にオブジェクトが歪んでいるのではないか?
カメラに近いほど左回りに、離れるほど右回りにオブジェクトが変形しているような画像を右目画像としてレンダリングするとパノラマで3Dに見えるのでは?

どうやって?    ディスプレイスで変形させるとか?

今日はここまで。追記はするかも

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# by yoshihide-ohkubo | 2015-05-15 01:33 | パノラマ

短編アニメを制作中

前にチラッと書きましたが、ひそかに短編アニメを制作中です。尺としてはかなり短いものですが、まだまだ相当な作業量があります。本業もやりつつ(ときどき遊びつつ…)の作業なので今年完成できるかどうかも怪しい所です。一応オチまでVコンテは出来ているのですが。

ちょっとだけアニメーションが出来たのでプレビューをアップして見ました。



予定ではこの次の10秒くらいで結構気持ちのいい(人によって気持ち悪い)事になって行きます。
普通の動画形式ではないのでYouTube等では鑑賞出来ないものになります。
最終的にはそれなりの完成度が欲しいとは思っていますが、悩みどころはBGMや効果音ですね…。どなたか依頼できる方がいればいいのですが…。


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# by yoshihide-ohkubo | 2014-05-25 23:23 | 3DCG

360°パノラマ ペインティング


modoをつかってこんな事を試してみました。

上下左右360°すべてがキャンバスになるパノラマペインティング
ようするに「手描き」のパノラマ画像が作れるよということです。

真上や真下に塗り進めて行く感覚はヒジョーに不思議なものがあります。
3Dペイント機能のあるBlenderや職場のCinema4Dでも試してみましたが意外に操作性が悪かったり、そもそも球にUV座標が入っておらず手作業で作らないといけなかったりしたのでmodoがいちばんやりやすいようです。

アイデア自体は数年前に思いついたのですが最近Oculus Riftなど360°VRの話題が多くなってきたのでちょっと提案の形でアップしてみました。

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# by yoshihide-ohkubo | 2014-02-09 18:28 | 3DCG

Lightwaveでノーマルマップの継ぎ目ができる時はガンマをチェック

3D-coatなどでつくったノーマルマップをLightwaveで張り付けると継ぎ目がでる現象がおきて悩んでましたが、
ノーマルテクスチャのガンマを2.2にすると継ぎ目がきれいに消えました!
モデルは標準コンテンツのサメちゃんです

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# by yoshihide-ohkubo | 2014-02-02 13:01 | 3DCG

360°ムービー(Motion VR) 再公開しました。

Quartz Composerを利用した360°全周ムービーで公開していたファイルを再公開しました。
OSX QuickTime7 または QuartzComposerが必要です。

.qtzファイルをQuickTime7にドラッグ&ドロップすると再生が始まります


さらに今回はHD版でアップしています。以前公開したのはもう5年も前になりますが、今のマシンならHDの動画を再生しても重くならないかなーと思って大きいムービーを入れてしまいました。

そしてさらに特別にオマケのムービーも入れてみました!
これらは別に今回のためにレンダリングしたわけではなくて、だいぶ前に自分の研究用にレンダリングしたものです。

その後も現在に至るまでこの方面は研究&開発中です。
この分野が秘めているポテンシャルはこんなものではないと思います。

そんなわけで開発中の画面をチラッと公開

この大きさじゃ分かりませんネ。さらに分かりづらい部分を抜き出してます。
ただこの作品、相当時間がかかる見込みです…。尺は短いのですが、作り込んでるので…(汗)果たしていつになるやら。
見る人の限られるquartz composerにはこだわらずに、別の形で公開できればと思っています。

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# by yoshihide-ohkubo | 2014-01-15 02:20 | パノラマ

ドン・ブルース監督の近況

ドン・ブルース監督について良いニュースと悪いニュースがある。

良いニュースは、最近の彼は非常に活気づいてるらしいということ。

悪いニュースは、もう彼の新作アニメーションを期待するのはムリそうだということ。

わかってはいたけどね。

2000年のタイタンA.E.以降まったくアニメーション制作の話を聞かなくなってしまったドン・ブルース監督ですが、近況が分かったので軽く書いてみます。
近年はFront Row Theatre という小規模なミュージカルを主催してるようで、今年からは専門の小劇場を構える事になったようです。
ホームページ: Don Bluth Front Row Theatre
Facebookページ: https://www.facebook.com/DonBluthFRT

この記事に経緯が載っています。
Don Bluth Front Row Theatre is moving to Scottsdale
訳に自信が無いですが、始めは教会主催の子供たちの劇をやる際にドン・ブルースの自宅のリビングルームを提供して(たぶん演出もして)上演してみた所、これはおもしろい、もう一回やろうという事になって恒例行事になっていったそうです。
それが口コミで広がり、やがて大人の出演するミュージカルも上演するようになり、ますます評判になって行く一方、相変わらず劇場はブルース宅のリビングルームのままで7年ものあいだ続けていたそうです。
それが今年になって小規模な専門劇場を立ち上げるまでに至ったという事で、なんとも典型的な成功パターンを見てる様な気になります。
アニメーションではミュージカルはお手の物だっただけに、演出するものがフィルムから舞台に変わってもその手腕を遺憾無く発揮してるものと思われます。
こういう話を聞くと、本人たちは面白くって仕方ないんだろうなと思います。

一方で、ここまで成長まっただ中に居たら、そりゃアニメーションとか作ってるばあいじゃないよね、と日本のファンは、ほんのちょっと寂しく思うのです。
日本でいえば安彦良和氏がSFアニメをやめて歴史マンガ家になっちゃったという感覚に近いかなー。安彦氏はまだその美麗な絵が拝めるだけ良いんだけど…。

ウォルトディズニーがその方向性をアニメーションの世界から、観客が生で体験できるテーマパークに移していった事を考えると、ドン・ブルースはミニスケールのウォルトであると言えるのかも知れません。

NHKの海外ニュースかなんかでとりあげられないかな。日本のファンにとってはそこら辺が唯一残された期待か。

現在は古典のミュージカルを上演してるようですが、そのうちニムの秘密やドラゴンズ・レアなんかも舞台化したりするんでしょうかね。
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# by yoshihide-ohkubo | 2013-08-14 23:32 | カートゥーン

正直言ってモンスターユニバーシティに全く関心を持てない人へのお勧めポイント

モンスターズ・インクの続編、モンスター・ユニバーシティ。
正直もういいよという人も居ると思います。自分もそうでした。
はいはいピクサーピクサーて感じで。
個人的に今回は観るモチベーションが全く上がらなかった。
まぁいちおう観とくかー、的な気持ちで行ってみたら、アタリでした。あれは広告のしかたが悪い。

今回の話を要約すると、
「何かを目指して努力を重ねた結果、努力ではどうしようもない所が自分に欠けている事に気付かされる話」

前作では笑わせ役で、どう見ても怖いようには見えないマイクが、怖がらせ屋になろうとひたすら努力するところがポイントですね。
そして最後に否定しようの無い現実を突きつけられると。
終わってみるとやっぱり非常にピクサー的な話ですね。

ただの人気キャラクターのドタバタだと思ってパスするのは非常にもったいないです。
そういう意味でちょっと予告の情報の出し方はあまりにもファン向けすぎる。

と、久々に映画ばなしをブログに書いてみました。
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# by yoshihide-ohkubo | 2013-07-13 22:07 | カートゥーン

パノラマ撮ってみた

近くの公園のパノラマを360citiesにアップしてみたよ。画像クリックで移動


水平が取れてない。
ブラケット撮影でブレたのかちょっと輪郭が甘いかな。jpegで継ぎ合わせてた時はシャープだったけど。

自分の部屋とか庭とかでほかにもテストしたけどそっちはなかなか公開し辛いよなぁ
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# by yoshihide-ohkubo | 2013-06-15 15:48 | パノラマ

3Dプリンタ出力のパノラマ雲台Nomad Panohead

今回Nomad Panoheadというパノラマ雲台についての購入記事を書こうと思っていたのですが
記事を書いてる最中にこの製品が販売終了してしまった事が分かって、いろいろグダグダになりつつあります。それでもいくつか書いておくべきものがある気がするのでちょっとレポートしてみたいと思います。なので、この記事の中に出てくるリンク先は、しばらくすると消えたり内容が変わっている可能性があります。




続きを読む
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# by yoshihide-ohkubo | 2013-06-11 11:14 | パノラマ

William VaughanのLightwave9.3.1チュートリアル

久々の更新です。

数年前William Vaughanという方がNewTekのフォーラムでLightwave9.3.1のフリーのチュートリアルを公開しました。
初出の記事はこちら
Hours of Free LightWave Training (24 Hours+)


で、こんな感じのインターフェイスのリストもあるんですが
ftp://ftp.newtek.com/multimedia/movies/w3dw/WV_LightwaveTraining.html


検索したらなぜかイタリアのサイトにサムネイル付きの非常に見やすいチュートリアルリストがありました。
Videotutorial by Proton | LW9.3.1


サムネイルがあるおかげで自分も見た事が無いムービーも大量にあることがわかりました。
中級者以上向けなので非常に興味深いです。現在のLightwave10 (11も?)でもシステム的にはほとんど変わってないと思うので充分使える内容です。
ときどき空いた口が塞がらないような方法で解決してたりするので必見です。
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# by yoshihide-ohkubo | 2012-04-30 21:18 | 3DCG

街頭紙芝居絵のカッコ良さは異常


前回のエントリの延長で古い時代の子供向けの本などを調べるのが最近のテーマになってきました。
たとえば、現在のマンガなどの基盤を作ってきた人たちが子供時代どんな作品を楽しんできたのか、さらにその作者が楽しんできた作品はなんなのかとルーツを辿ってきました。
そんなときに上野の国際子ども図書館に行ってみた所、街頭紙芝居について書かれた書籍群に目が止まりました。
紙芝居について書かれた本は今までほとんど見た事が無かったのですが、
各作品の紹介記事を見ると、この世界が想像以上に面白い作品にあふれている事に驚かされました。
この手の本は種類が少なく、ちょっと古本屋を覗いたくらいでは見かける事は難しいようです。
ここで見たのは主に
大空社 紙芝居大系 全14巻
アサヒグラフ別冊 戦中戦後紙芝居集成


でした。

そのどれもが多少の古さは感じたとしても
現代の目から見てもエネルギーに満ちあふれていて
ちょっとしたダイジェストを読んだだけでも思わず引き込まれてしまう作品が非常に多く、即座にハマってしまいました。

ただし、本の中で紹介されるのはあくまでダイジェストであり、一部の作品はカラーで紹介されるもののほとんどはモノクロかせいぜい2色刷りで、
手のひらより小さい画面で載っているのがほとんどです。
ところがいろいろ調べて行くうちにその全巻を自由に見る事ができる所を発見しました。

最近自分が入手した戦中戦後紙芝居集成のなかには各作品の収蔵先が書いてあるわけですが、いくつかの作品に”江東区立深川図書館収蔵”とあり
調べてみた所以下のような広報のページが見つかりました。
深川図書館所蔵の街頭紙芝居(複製版)の館内閲覧を開始します
ここでは以下の作品が公開されています。いずれも「なかよし会」という紙芝居の絵元が製作したものです。関係者が寄贈したのでしょうか。

  「疾風鞍馬天狗」(全15巻)  *第2巻 欠巻
  「ジャングル王者」(全50巻) *第28巻欠巻
  「新版γ彗星団」(全40巻)
  「半獣人」(全20巻)
  「不死身の魔王」(全41巻)
  「妖魂まだら狐」(全20巻)
  「夜の王者」(全2巻)
  「夜なき石」(全20巻)

そこで実際に行ってみた所、階段を2階に上がって左手に図書館の建築模型があり、その下の棚に1巻ごとに袋に入った紙芝居の束がひっそりと(しかしどっさりと)置かれていました。
ここに気付く人、手に取って読もうとする人はほとんどおらず、実際何も情報が無ければ、くすんで薄汚れたような表紙(もちろんコピーで原版そのままの形)ばかりで正直面白そうにはとても思えない見た目ではありました。

紙芝居の実演でも数十巻に及ぶ内容を一気に楽しめる機会はまずないと思われますが
ここでは間近にA3フルカラーの大迫力で全巻を見ることができます

下の「もっと読む」以降ではそのうち突出して面白い2作品を紹介します。
貴重な機会なので、興味があれば是非、深川図書館に行って読んでみて下さい。


もっと読む(画像多数 長文注意)
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# by yoshihide-ohkubo | 2010-11-28 18:27 | アート

明治期のベストセラー児童文学 「こがね丸」

先週のらくろ館に行ってからというもの、明治、大正など近代の子供文化を調べるのに夢中になっております。今回のテーマも検索中に偶然知ったものです。きっかけはこちらの記事

巌谷小波という作家が明治二十年代に少年向けに書いた「こがね丸」というもので、当時大ヒットを記録したんだそうです。それまで日本には児童向けに書かれたオリジナルのフィクションというのは存在せず、この作品が日本における最初の児童文学であるといわれています。
内容は両親を金眸という虎に殺された犬のこがね丸が、仇を討つため旅に出るというもの。
この作品の背景や作者については以下のページで非常に詳しく書かれています。

『こがね丸』とその周辺

これを見て俄然内容に興味を持ったわけですが、こういうときに心底ありがたいのが青空文庫。こがね丸もバッチリ入ってました。

巌谷小波 こがね丸

画面をそのまま読んで行くのは辛いところですが、意を決してプリントアウトしてじっくり読む事にしました。そのまま印刷すると結構な枚数になりますが、macのテキストエディットにコピペして印刷してみたらちーさい字ですが6枚に収めることができました。
最初は明治の作品なので読みにくいんじゃないかとか、ほんとに面白いのか疑問だったのですが、ボリュームもちょうどいいせいか実際はあっという間に読んでしまいました。さすがはベストセラーです。
文章は旧仮名遣いの古めかしい文語調で、青空文庫版ではふりがながカッコ付きで書かれたりしてるので最初はちょっと戸惑いますが、慣れるとふりがなのお陰で苦もなく読み進められ、さらにその古めかしい七五調の文章が美しく、もういわゆるロマンを掻き立てるような素晴らしい効果を発揮していました。
いくらそう書いても伝わらないと思うので、冒頭で非常にドラマを感じた部分を引用してみます。

荘官の家に飼われている月丸と花瀬という夫婦の犬のうち、月丸が虎の金眸によって花瀬の目の前で殺される。その後の花瀬の様子と主人公が生まれるまでの描写。
済まぬは花瀬が胸の中(うち)、その日よりして物狂はしく。旦暮(あけくれ)小屋にのみ入りて、与ふる食物(かて)も果敢々々敷(はかばかしく)は喰(くら)はず。怪しき声して啼(なき)狂ひ、門(かど)を守ることだにせざれば、物の用にも立(たた)ぬなれど、主人は事の由来(おこり)を知れば、不憫さいとど増さりつつ、心を籠めて介抱なせど。花瀬は次第に窶(やつ)るるのみにて、今は肉落ち骨秀(ひい)で、鼻頭(はなかしら)全く乾(かわ)きて、この世の犬とも思はれず、頼み少なき身となりけり。かかる折から月満ちけん、俄(にわ)かに産の気萌(きざ)しつつ、苦痛の中に産み落せしは、いとも麗はしき茶色毛の、雄犬ただ一匹なるが。背のあたりに金色の毛混りて、妙(たえ)なる光を放つにぞ、名をばそのまま黄金丸(こがねまる)と呼びぬ。

もうね。完全にこれでやられました。なんともいえない日本語の美しさ。

主人公はその後成長して武者修行の旅に出て、やがて白犬の鷲郎という仲間を得るんですが、その仲間になるまでの展開がちょっと往年のジャンプ漫画を連想させる感じで、ルーツはここだったのかと勝手に思い込んだりしてしまいます。
こがね丸は鷲郎と一緒に暮らす事で食うのに困らなくなるんですが、腐女子な人はこういうの好きそうだなぁと思ったり。
その後もキャラクターがいろいろ出て来て、なかには有名な昔話と意外な繋がりを持たせていて非常に面白い。
また、あるとき雌鼠の阿駒ってのを助けるんですが、この阿駒の恩返しの仕方といったら(;_;)(;_;)(;_;)

これを知るきっかけになったブログでも指摘されてましたが、東映アニメの「わんわん忠臣蔵」のストーリーがこがね丸とそっくりだそうです。自分は見た事が無いのですがWikipediaの項目を見るとたしかに前半のあらすじがそのままですね。

それでも明治の大ヒット作がどうして現在は埋もれた状態にあるのかが非常に不思議でなりません。もしこの記事を見て興味を持たれましたら是非一読をお勧めします。
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# by yoshihide-ohkubo | 2010-05-16 23:10 | その他

田河水泡 のらくろ館

先日まったく別の事をググっていたところ、のらくろについて書かれたブログ記事が偶然ひっかかりました。
考えてみればこのブログみたいな嗜好をもっていながら自分はのらくろについて全く関心を持ってきませんでした。子供の頃児童向け図書館で見た事があるようなないようなというぐらいで内容はさっぱり覚えていません。
のらくろ という作品やキャラクターについての話題も世間で見かけなくなってずいぶん経ってる気がします。平成生まれはもう知らないんじゃないでしょうか。

wikipediaで調べたところ、資料館が江東区にあるそうなので早速いってみました。珍しいですね。こんなところに。
ちなみにそのホームページもありますが、stopボタン抜きで強制的にBGMを流してくれるステキな仕様となってますのでご注意を。今後の改善に期待しましょう。
江東区森下文化センター 田河水泡・のらくろ館

資料館といっても森下文化センター1Fの一角に常設してあり、無料です。こじんまりしてはいますが丹念に見ていけば小一時間ほど過ごせるようになっています。人は…まぁ…自分の居る間に2人ほど通り過ぎて行きましたか。自分は2周ぐらいしましたが。

入ってすぐの所にのらくろの生い立ちとして全作品のダイジェストを展示してありますが、それだけ見てものらくろの面白さ、かわいらしさが伝わってきます。
記憶にある最初の風景というのがひとりぼっちで板に乗って川を流されて行くところなのですが、この絵がなんとも切なくてかわいくて。
それぞれのギャグも現在の目からしてもほのぼのとして微笑ましく、充分楽しめるものでした。
軍隊ものとはいえ、主人公がドジでサボり癖があったりするので軍国主義的な臭いは自分は感じませんでした
裏話としては、軍隊の仲間が正月で家に帰るのに、のらくろだけ帰る家が無いと嘆く話を出版したところ、「うちにおいでよ」というファンレターが殺到したという。イイ話すぎます。

ここで突然ですが、自分の頭の中では1900年代の物差しとしてウォルト・ディズニーの大体の生涯や作品で考えています。ファンタジアが1940年だとか、ミッキーマウスが1928年だとか(だいたいなので今調べたら間違って覚えてた)。
そこから比べると田河水泡はウォルト・ディズニーとほぼ同じ世代、水泡が2歳年上の1899年生まれでした。没年は1989年。明治、大正、昭和ときて平成を約1年体験されたという、意外な程最近まで健在だったんですね。
水泡の生い立ち紹介と一緒に当時の深川の古地図が掲げられてました。今よりずっと内陸部まで水辺だったようですが、木材運搬用の水路なのか、幾何学的に池や水路があって、今の埋め立て地をそのまま内陸にずらしたような地形になってたのが興味深かったです。

資料館なのだからのらくろがちゃんと本として読める形で置いてあるのかと思ってましたが甘かった。もう長い事(80年代以来?)絶版状態が続いているそうで、年季の入った本がガラスの向こうに数冊展示されてるのみでした。

正直これは問題でしょう。

この資料館自体はまるで最近オープンしたように手入れされてるものの、はたして普段どれほど人が訪れるのか。自分自身、偶然思い出さなければのらくろなんて全く関心の外でしたし、その一方でキャラクターの魅力は今でも通用する、というか今ちょうど受け入れる下地が世間に整ってるところなんじゃないかと。
ここは是非復刻再販を希望したいところです。それもマニア向けのハードカバーじゃなくて普及版がほしいです。というか、もうiPhone / iPadの時代なんだからいきなり電子書籍版として出しちゃってもいいくらいじゃないでしょうか。(いっそのことパブリック・ドメインに…とまでは言い過ぎか)

とにかく、シーンとした資料館の中で1人、ほんとにこれはマズいよと何度も思わずには居られませんでした。
この機会にちょっとでものらくろを思い出してやってあげるといいかも。初めて知った人は、読める機会がなくて残念ですが、もし資料館の近くまで来る機会があったら立ち寄ってみると面白いかもしれません。

p.s. 神保町を探したら文庫サイズのちょうどいい本が1冊だけ見つかったのでゲットして来ました。いきなりハードカバーの全巻を買う勇気はさすがに無いので…


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# by yoshihide-ohkubo | 2010-05-09 23:08 | マンガ

どいてください…


クリックで拡大(1000x1080)

とある事情で結構まとまった時間が出来たのでこの機会になんか作ってみようという事でやってみました。
作ったのはほぼネコだけなんですが、それだけではつまらないので、modoについてくるサンプルデータを利用してネットでよくありがちな風景にしてみました。
実際ネコを部屋で飼った事ないのでこういう状況はなかったんですが、慣れてるネコの図々しさはよくわかってますw だいぶ長いことネコ触ってないなぁ。

今回初めて3D-Coatなるソフトを使ってみました。ポリゴンとかを一切気にしないでオブジェクトを削ったり盛り上げたりできるソフトです。面白くてコネコネ意味なくいろんなものを作ってしまいそうになるのですが、やっぱり自分がマッチョオヤジとかクリーチャーとか作っても続かないと思うのでこうなりました。
最初はmodoで仕上げようとしてたんですがfur機能が重すぎて断念し、blenderに切り替えました。
ここら辺のトライアンドエラーで思った以上に時間かかった。なんか3D-Coat,modo,blenderと3本一遍に勉強したような感じでした。
制作中の画像とかはMore以下に置いてます。

More
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# by yoshihide-ohkubo | 2010-03-29 12:05 | 3DCG