今回ひょんな事から面白い効果の出る方法を見つけたのでお知らせ。
別に何の事は無く、映像の速さをスローにすると、わりと手ブレが気にならないよというお話。 ただ、単純にスローにしてもあんまり奇麗にならないのでその工夫について。 使用するのは Final Cut Express HD と QuickTime Pro。ちょっと敷居が高いかもですが、10万円以上するFinal Cut ProやAfter Effectsよりは入りやすい、というか自分が持ってるから。 家庭用ビデオカメラは必ず1秒約60フィールドのインタレース方式で記録してますが、2フィールド分を1フレームに収めて1秒約30フレームとして再生しています。これをPCで見ると、櫛形のギザギザした絵になるか、2フィールド分が2重にオーバーラップした絵になって、ディテールが潰れてしまいます。 方針としては1フレームにある2フィールド分を2フレームに振分けてみようという話。 Final Cut Express HDには「インタレース解除」フィルターがあり、奇数偶数どちらか一方のフィールドを表示するオプションがあります。そこで奇数フィールドだけのトラックと偶数フィールドだけのトラックを用意し、フレームごとに表示を切り替える事で秒60フィールド分の絵をしっかり表示するというアイディアです。 こんな感じの映像になります。 これはかなり前に撮ったもので、手ブレがヒドいのでずっと放置してました。スローにすると手ブレが目立たなくなって、悪くない感じになったのでチョコチョコと編集(の割に長くてすんません)。 ちなみにスローにすると音が "ぐもぉぉ〜"と間延びした感じになるのですが、BGMにしっくりするものが無くて結局無音になってしまいました。 具体的な手順としては以下のとおり あらかじめ、表示トラックを切り替えるためのマスクのムービーを作る必要があります。 HDなら1920x1080、DVなら720x480の真っ白、真っ黒画像を1枚ずつつくって、QuickTime Proでイメージシーケンスとして読み込む(フレームレートは30フレーム/秒)。 "全てを選択"してコピー、ペーストを繰り返すとある程度の長さの白黒点滅ムービーが出来ると思います。 ポケモンショック防止のために直視は避けましょう:) それをムービーとして書き出します。特に何でもいいと思いますが、自分は”アニメーション圧縮の最高”で書き出しました。短くていいのでそんなに大きなファイルにはならないはず。 次からはFinal Cut Express HDの作業。 奇数用、マスク用、偶数用と3トラックを使用するので、適宜トラックを追加してください。 1トラック目に加工したいムービーを置いて速度を50%にする。このときフレーム合成はオフ。 そのムービークリップに「インタレース除去」フィルターを適用して、オブションに「奇数フィールド」を指定する。 タイムライン上のムービークリップをコピーペーストして3トラック目に配置(ついでにアウトポイントも指定しておくと書き出すとき便利)。 フィルターもコピーされてるので、オプションを「偶数フィールド」に。 先ほどのマスク用ムービーを読み込んで2トラック目に配置。ムービーの長さに合うまでコピーペースト。 3トラック目のクリップを選択して合成モードに「トラベリング・マット・ルミナンス」を指定。 すると、2トラック目の輝度に応じてマスクされます。つまり、 マスクが白の場合は3トラックの偶数フィールド画像が、 マスクが黒の場合は1トラックの奇数フィールド画像が表示されるようになります。 この状態にしてコマおくりすると非常にスムーズな50%スローモーションが出来ているはずです。もし動きがガクガクするようなら、クリップの配置でどこかにスキマがあるかチェックしていただき、あるいはフィルタの奇数、偶数を反対にしてみるとスムーズに行ったりします。 (自分が試したところ、HDVとDVではどうも反対のような気がする) もともとはPC上でインタレースの映像を60フレーム/秒のムービーに変換しようとしていろいろやってみた結果の副産物ではあります。ほんとうはこの過程で出来たものを普通の速さに直そうと思ってたんですが異常に時間がかかるのと、turbo.264 HDが60フレーム/秒に対応してなかったので、まぁ、これはこれで、という妥協の産物な訳です。自分としてはHDムービーのディテールをコマ送りで楽しむ事に使ってます。
by yoshihide-ohkubo
| 2009-09-27 00:42
| Mac
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